ウィーン国立音楽大学フルート科の教授として長年教鞭をとり、数多くのエチュードや教則本の出版もなさっている、バーバラ・ギスラー=ハーゼ氏にお話を伺った。
--- 世界トップクラスの、ウィーン国立音楽大学への狭き門を突破してきた新入生に対して、まずどのような授業をなさるのでしょうか?
バーバラ:新入生の大半は、入学時点で17〜20歳。既に10年間程度はフルートを学び、難関入試を突破した、ハイレベルな奏者ばかりです。それでも最初は、多くの時間を費やして、基本を教えます。
「姿勢」、「呼吸」、「アンブシャー」。
これらに共通して重要なのは、筋力のバランス感覚です。弾力性のある、たとえばゴムのような感覚。それを若い奏者たちが体得できるよう、取り組んでいます。
これを徹底することが、柔軟な音色、技巧の向上に繋がるのです。楽曲を学ぶのと同時に、この筋力のバランス感覚は、一生涯に渡って学び、自分の身体の感覚を育てていってほしい。私自身現在においても、この基本の勉強を続けています。
--- 具体的には毎日の練習をどのような形で進めるよう、ご指導されているのでしょうか?
バーバラ:音作り、音色、強弱、イントネーション、発音、タンギング、フィンガリング、これらを常にトレーニングできるような、効果的な練習プログラムを個々に立てる必要があります。
エチュードやソナタ、コンチェルトなどを演奏する際には、こういった日々の練習が、音楽的なインスピレーションを得る助けになります。大作曲家の作品を演奏することは、大きな喜びであると同時に、責任をも伴うということを、忘れてはいけません。
--- 以前、フルートの基礎練習以外にも、学生にフランス語を学ぶ必要性についてお話しされていましたね。
バーバラ:フランス語の発音は、フルーティストにとって、極めて有効なヒントになるのです。発音練習をすることで、フルートに必要な学習過程を容易にし、スピーディーにすることが、可能かもしれません。
ウィーン国立音楽大学の生徒達は、オーストリアからだけでなく、様々な国から集まり、母国語も違います。私たち教師が、それぞれ全ての外国語の特徴を把握してあげるのは、そう簡単なことではないのです。
舌の動き、顎周りの筋肉、口角の動かし方。フランス語を学ぶことで、それぞれの母国語では使われていなかった部分の筋肉を使い、多様な動作を知ることができます。
--- 最後に、いつも三響フルートの24Kをお使いいただき、ありがとうございます。24Kフルートは重量が重すぎると感じる方が多いようですが、いかがですか?
バーバラ:最初は重く感じても、3週間も吹いていれば全く気にならなくなります。何より、この比類なき美しい音が得られるのは、24Kだけですよ。